記事ほんとはあやしい印相体

篆書体は、印鑑に使われる書体としてだけでなく、書道の世界においても重要な書体になります。
ただ漢字に使われるだけでなく、文字の歴史的に見ても重要な意味を持ち、篆書体内部でも派生していったほどの格式ある書体です。

書道の世界では、既成の書体を勝手に崩して新たな書体を生み出すという行為は、良いこととはされていません。
そういったことを認めるべき、という風潮もありますが、そのようなことをすすめてしまえば、印相体のように、由来や歴史が分からない書体がどんどん出来上がってしまい、結果的に書の世界の信頼を失い、迷走するだけの結果となってしまうからです。

印鑑で使われる書体は、書道で使われるものを基本としています。
元々書道で使われているために、印鑑に使ったとしても素晴らしい印影を残してくれるのです。
正式な場で使うような印鑑ではなく、遊び心があふれた印鑑や、会社のロゴなどを入れたスタンプなのであれば、印相体など、様々なフォントや字体を駆使してデザインを勧めていくのは良いことでしょう。
なぜなら、見せるということが重要なのであって、認識や区別といった用途ではないからです。
認識や区別の用途で印鑑を用いる場合、印面に彫る書体自身に信頼性が求められます。

印鑑に使用される書体の中で、主に開運印鑑に彫られる書体として、印相体があります。
印相体は、複製がしにくく、デザイン的にも優れた面が多い書体ではあります。
しかし、印相体についての説明書きをみると、篆書体を基本として派生した、と書かれていることが多いのです。
しかし、前にも言った通り、書の世界において、印相体のように新たな派生文字を生み出すことは許されていませんし、歓迎もされません。
即ち、印相体は、どこで派生してきたのかもわからない書体なのです。
その上、印相体には、根拠があるのかもわからない開運といった要素を足していることが多くあります。
印相体は、本来正式な場に使う書体ではなく、本来の用法を無視した、デザインの延長でしかなくなってしまっています。

印鑑は、人生の中で大切な場面に使うものです。
デザインとしての印相体には良い面もたくさんありますが、開運印鑑という根拠のない言葉に惑わされず、大事な印鑑は自分で考え、印相体以外の書体も検討して購入するようにしましょう。


しっかりとした印鑑を作るときには運勢も占ってもらいましょう